Research Areas

研究領域

BODIK R&Dは、公共データ基盤の高度化を単一の技術課題として捉えていません。データの公開、収集、記述、変換、連携、提供、運用という複数の層にまたがる課題に対して、それぞれ独立しつつ相互に接続された研究領域を設定しています。

研究領域: AI Readyなメタデータ拡張仮想データモデル軽量なリアルタイムデータ連携自動探索・自動変換統合プラットフォーム設計
公共データの利活用が進まない理由は一つではありません。各研究領域は別々に存在するのではなく、相互に支え合う関係にあります。自動探索・自動変換で収集されたデータは、メタデータ拡張によって理解しやすくなり、仮想データモデルによって横断利用可能になり、リアルタイム連携によって動的な接続を持ち、最終的に統合プラットフォーム上で提供されます。
Research Domain I

AI Readyなメタデータ拡張

AIが理解しやすい記述を、公共データに付与する

公共データの利活用において、データ本体と同じくらい重要なのがメタデータです。しかし実際には、公開されているメタデータは公開者ごとに記述粒度や表現方法が異なり、とりわけAIによる探索・要約・分類・比較を考える場合、このばらつきは大きな障壁となります。

BODIK R&Dでは、メタデータを多層的に拡張する研究を進めています。基本となるオリジナル情報に加え、機械的な補完・正規化を施した層、さらにAIによる意味補強・要約を行った層を重ねることで、データの内容や用途をより明確に記述できる状態を目指します。

この研究の意義は、単に説明文を豊かにすることではありません。AIがデータセットの主題・粒度・活用可能性・関連領域を把握しやすくなることで、検索性、推薦性、比較可能性が高まります。BODIK R&Dではこのような状態をAI Readyと捉え、公共データ基盤の次段階に必要な前提条件として位置づけています。

この領域で重視する問い
公共データの意味情報を、どこまで機械可読にできるか
既存のメタデータを壊さずに、どのように補強できるか
AIが扱いやすい記述と人間が理解しやすい記述をどう両立するか
AI Ready なメタデータ拡張のイメージ
メタデータを多層化し、検索・要約・比較に耐える記述へ拡張する研究領域。
関連プロジェクト
拡張メタデータサーバー
AI補助による多層メタデータ拡張
メタデータ拡張の3層
Layer 1
オリジナル情報
公開時点のメタデータ
Layer 2
機械的拡張
正規化・補足・自動整形
Layer 3
AI補強
要約・意味付与・用途推定

Research Domain II

仮想データモデル

異なる形式のデータに、共通の参照枠組みを与える

同じテーマを扱う公共データであっても、自治体ごとに列名、単位、日付表記、値の持ち方、粒度は大きく異なります。この差異は、公開主体にとっては自然なものであっても、利用者が横断比較や統合分析を行う際には大きな障壁になります。

BODIK R&Dでは、この課題に対して仮想データモデルという考え方を採用しています。これは、全てのデータを無理に単一形式へ統一するのではなく、それぞれのデータの個別性を残しながら、共通的に参照・取得・比較できる抽象層を設けるアプローチです。

仮想データモデルを用いることで、項目名の読み替え、型変換、日付形式の統一、単位の補正といった処理をAPI層で吸収しやすくなります。BODIK R&Dにおいて仮想データモデルは、横断利用を成立させるための中核的な研究領域です。

この領域で重視する問い
差異を消すのではなく、どう整理すれば横断利用できるか
現場の実データに即した共通化は、どの粒度で成立するか
モデルの厳密性と運用現実性をどう両立するか
仮想データモデルの設計イメージ
個別データの差異を残しつつ、共通参照枠で横断利用を成立させる抽象層。

Research Domain III

軽量なリアルタイムデータ連携

動的なデータを、現実的な構成でつなぐ

公共データの多くは、静的なファイル公開を前提としています。一方で、施設の空き状況、防災情報、センサー値、イベント情報など、時間変化を伴うデータの重要性は今後さらに高まると考えられます。このようなデータを扱うには、単なるカタログ公開とは異なる連携基盤が必要です。

BODIK R&Dでは、重厚な構成に全面依存するのではなく、FastAPI、Elasticsearch、MQTT等を用いた軽量なリアルタイムデータ連携を研究しています。ここでの重点は、機能の網羅性よりも、理解しやすさ、導入しやすさ、保守しやすさです。

既存のFIWARE系資産や共通基盤との接続可能性を尊重し、新しい環境においてもNGSIインターフェイスを整備することで、既存基盤との段階的な相互運用を実現します。

NGSI / FIWARE 接続について: BODIK R&DはFIWAREを否定する立場ではありません。NGSIインターフェイスを整備することで、既存共通基盤との相互運用を確保しながら前進します。
この領域で重視する問い
リアルタイム性を、公共分野でどの程度・どの形で扱うべきか
軽量な構成で、どこまで実用的な連携が可能か
更新通知・履歴・検索をどう整合的に扱うか
軽量なリアルタイムデータ連携のイメージ
動的データ連携を、導入しやすい構成で扱うためのAPIレイヤー研究。
関連プロジェクト
RAPI
軽量リアルタイムデータ連携API
使用技術
FastAPIElasticsearchMQTTNGSI I/F

Research Domain IV

自動探索・自動変換

公開と更新の持続性を、自動化で支える

公共データ基盤の運用では、データそのものよりも、データを見つけること、集めること、整えること、公開基盤へ反映することに多くの手作業が発生します。これらの作業が担当者の個別努力に依存すると、継続性も更新性も不安定になります。

BODIK R&Dでは、自治体サイト上の公開箇所の探索、既存CMSからの抽出、適切な形式への変換、公開基盤への登録補助といった工程を自動化する研究に取り組んでいます。ここには、単純なスクレイピングだけでなく、対象構造の理解、差分検知、想定外変更への対処、変換ルールの適用といった知的処理が含まれます。

この領域で重視する問い
公開箇所の発見と更新追跡を、どこまで自動化できるか
データ構造の変化を、どのように安全に扱うか
人間の確認が必要な部分と自動化できる部分をどう分けるか
自動探索と自動変換のイメージ
探索、抽出、差分追跡、変換を自動化し、公開と更新の持続性を支えます。

Research Domain V

統合プラットフォーム設計

複数の研究成果を、一つの利用環境へ接続する

メタデータ拡張、仮想データモデル、リアルタイムAPI、自動探索・自動変換。これらが個別に存在するだけでは、公共データ基盤としての価値は十分に発揮されません。利用者にとっては、複数の要素技術が分断されていること自体が利用障壁になり得ます。

そこでBODIK R&Dでは、認証、API利用、モデル管理、データ接続、利用者インターフェースを含む統合プラットフォーム設計を研究領域として位置づけています。この領域は、各技術成果を単なる部品の集合に留めず、一つの利用環境として成立させるための設計を担います。

この領域で重視する問い
複数の基盤要素を、どのように一貫した利用体験へまとめるか
認証・API・モデル管理をどの粒度で統合すべきか
研究成果を実利用環境へ移す際の接続点をどう設計するか
統合プラットフォーム設計のイメージ
複数の研究成果を一つの利用環境として束ねる統合設計のイメージ。