BODIK R&Dは、公共データ基盤の高度化を単一の技術課題として捉えていません。データの公開、収集、記述、変換、連携、提供、運用という複数の層にまたがる課題に対して、それぞれ独立しつつ相互に接続された研究領域を設定しています。
公共データの利活用において、データ本体と同じくらい重要なのがメタデータです。しかし実際には、公開されているメタデータは公開者ごとに記述粒度や表現方法が異なり、とりわけAIによる探索・要約・分類・比較を考える場合、このばらつきは大きな障壁となります。
BODIK R&Dでは、メタデータを多層的に拡張する研究を進めています。基本となるオリジナル情報に加え、機械的な補完・正規化を施した層、さらにAIによる意味補強・要約を行った層を重ねることで、データの内容や用途をより明確に記述できる状態を目指します。
この研究の意義は、単に説明文を豊かにすることではありません。AIがデータセットの主題・粒度・活用可能性・関連領域を把握しやすくなることで、検索性、推薦性、比較可能性が高まります。BODIK R&Dではこのような状態をAI Readyと捉え、公共データ基盤の次段階に必要な前提条件として位置づけています。
同じテーマを扱う公共データであっても、自治体ごとに列名、単位、日付表記、値の持ち方、粒度は大きく異なります。この差異は、公開主体にとっては自然なものであっても、利用者が横断比較や統合分析を行う際には大きな障壁になります。
BODIK R&Dでは、この課題に対して仮想データモデルという考え方を採用しています。これは、全てのデータを無理に単一形式へ統一するのではなく、それぞれのデータの個別性を残しながら、共通的に参照・取得・比較できる抽象層を設けるアプローチです。
仮想データモデルを用いることで、項目名の読み替え、型変換、日付形式の統一、単位の補正といった処理をAPI層で吸収しやすくなります。BODIK R&Dにおいて仮想データモデルは、横断利用を成立させるための中核的な研究領域です。
公共データの多くは、静的なファイル公開を前提としています。一方で、施設の空き状況、防災情報、センサー値、イベント情報など、時間変化を伴うデータの重要性は今後さらに高まると考えられます。このようなデータを扱うには、単なるカタログ公開とは異なる連携基盤が必要です。
BODIK R&Dでは、重厚な構成に全面依存するのではなく、FastAPI、Elasticsearch、MQTT等を用いた軽量なリアルタイムデータ連携を研究しています。ここでの重点は、機能の網羅性よりも、理解しやすさ、導入しやすさ、保守しやすさです。
既存のFIWARE系資産や共通基盤との接続可能性を尊重し、新しい環境においてもNGSIインターフェイスを整備することで、既存基盤との段階的な相互運用を実現します。
公共データ基盤の運用では、データそのものよりも、データを見つけること、集めること、整えること、公開基盤へ反映することに多くの手作業が発生します。これらの作業が担当者の個別努力に依存すると、継続性も更新性も不安定になります。
BODIK R&Dでは、自治体サイト上の公開箇所の探索、既存CMSからの抽出、適切な形式への変換、公開基盤への登録補助といった工程を自動化する研究に取り組んでいます。ここには、単純なスクレイピングだけでなく、対象構造の理解、差分検知、想定外変更への対処、変換ルールの適用といった知的処理が含まれます。
メタデータ拡張、仮想データモデル、リアルタイムAPI、自動探索・自動変換。これらが個別に存在するだけでは、公共データ基盤としての価値は十分に発揮されません。利用者にとっては、複数の要素技術が分断されていること自体が利用障壁になり得ます。
そこでBODIK R&Dでは、認証、API利用、モデル管理、データ接続、利用者インターフェースを含む統合プラットフォーム設計を研究領域として位置づけています。この領域は、各技術成果を単なる部品の集合に留めず、一つの利用環境として成立させるための設計を担います。