実証実験報告の概要

FIWARE共同利用による
広域データ連携基盤 実証実験

本実証は、九州先端科学技術研究所(ISIT)/BODIKとTISI株式会社が、共同利用型データ連携基盤「BODIK CityOS」を用いて実施しました。ISIT/BODIKが基盤構築とアプリケーション開発を、TISI株式会社が自治体ニーズ調査・分析とサービス設計を担い、4自治体とともに、既存システムを活かした広域データ連携の実現可能性を検証したものです。

実施期間
2025年10月〜2026年3月末(約6か月)
実施主体
ISIT/BODIK・TISI株式会社
参加自治体
大分県・福岡市・静岡市・久留米市
実証内容
BODIK CityOSによる3件のデータ連携実証
実証実験実施報告 2026年6月

既存システムを改修することなく、
4自治体213施設を横断検索する。

参加自治体に求めたのはデータ利用の許可のみで、システム改修の負担は生じていません。九州先端科学技術研究所(BODIK)とTISI株式会社は、複数自治体による共同利用型データ連携基盤「BODIK CityOS」を用い、施設情報の広域横断検索、AIカメラによるリアルタイム混雑管理、生成AIによるデータモデル共通化の3件の実証を実施しました。本サイトは、その成果と、社会実装に向けた課題を公開するものです。

実証対象自治体
福岡市・久留米市・静岡市・大分県
連携施設数
213施設
構築期間
約3か月
データモデル
NGSI(国際標準)
ニーズ調査
有効回答67件

背景と課題

近年、地方自治体のオープンデータ取組率は89%に達しました。しかしその一方で、「公開データの具体的な利活用事例の不足」「データモデル標準化の遅れ」、そして単独導入における「コストの高騰」が、広域連携を阻む深刻な課題となっています。

本実証は、これらの課題に対し、コストを複数団体で分散しつつ相互運用性を担保できる「共同利用モデル」の可能性を検証したものです。技術的な成立性のみならず、費用対効果、体制面の制約、そして自治体が導入判断を行うために必要な材料までを含めて確認しました。

  • 課題 01利活用事例の不足

    公開はしたが、住民に届くサービスに結びついていない。

  • 課題 02データモデル標準化の遅れ

    自治体ごとに項目も表現も異なり、そのままでは突合できない。

  • 課題 03単独導入コストの高騰

    1団体で基盤を持つには、導入・維持ともに負担が大きい。

3つの実証プロジェクト

実証 01 公共施設情報の広域横断検索 自治体ごとに分断された施設予約システムを、既存システムを改修することなく横断検索可能とし、自治体の垣根を越えた施設探索を実現できるかを検証しました。 福岡市/久留米市
静岡市/大分県
実証 02 AIカメラによるリアルタイム混雑状況管理 エッジ側で数値化し映像を即座に削除する構成により、プライバシーを確保しながら混雑状況を住民へ可視化し、職員の目視確認業務を自動化しました。 久留米市 実証 03 生成AIによるデータモデルの共通化「AIデータブリッジ」 複数団体の基盤に分散するデータを手動で突合することなく、生成AIとMCPを活用してモデルの差異を自動的に吸収する方式の実現可能性を検証しました。 九州内の複数の県
福岡市/BODIK

自治体ニーズ調査

実証事業に併せて、地方自治体を対象としたアンケート調査(有効回答67件)を実施しました。約80%の自治体が共同利用型オープンデータ連携基盤の導入に前向きである一方、導入における課題は費用・活用・体制の三点に集約されます。

導入における課題(複数回答)

費用面(導入・維持コスト) 77.6%
活用面(ユースケース不足) 64.2%
体制面(専門人材不足) 64.2%
体制面/人口5万人未満 78.8%

特に人口5万人未満の小規模自治体では、体制面が最大のボトルネックとなっています。多くの自治体が導入意欲を持ちながらも、「費用・使い道・人材」の三点で足踏みしている実態がうかがえます。

価格提示への受け止め

年間基本利用料300万円(税抜)の提示に対し、全体の82.1%が「高い」または「やや高い」と回答しました。人口5万人未満では93.9%に達します。

高いと感じる真の要因

価格水準そのものよりも、「投資に見合う費用対効果を財政部門や議会に論理的に説明できない」点にあると分析されました。

導入障壁と乗り越え方

共同利用モデルは、基盤コストを複数自治体で分担して費用負担を抑え(費用面)、他自治体で確立したユースケースを横展開し(活用面)、伴走支援によって専門人材の不足を補う(体制面)ことで、三つの障壁に同時に働きかけられる点に意義があります。実証を通じて、次の対応が有効と考えられます。

  1. 1規模に応じた傾斜配分・廉価プランの設計人口規模や利用範囲に応じて負担額を段階化し、小規模自治体でも参加できる価格帯を用意します。
  2. 2自治体の調達・予算に配慮したサービス設計自治体ごとの調達手続きや予算規模を踏まえ、導入を始めやすいサービス・料金体系を検討します。
  3. 3具体的な市民サービスとセットでの提示避難所の混雑通知、駐車場の満空マップ等と結び付けて初めて、費用対効果を説明できるようになります。

社会実装に向けた支援策

技術・運用

日次バッチから高頻度なリアルタイム同期への最適化、参加自治体増加に伴う負荷分散、仕様変更に対応できる保守体制。

導入支援

認証トークン(JWT)の自動更新処理など、つまずきやすい実装を支援するドキュメントの整備。

調達・費用

自治体の調達手続きや予算規模に配慮したサービス・料金体系の検討により、着手のハードルを下げます。

体制

導入から運用までを伴走支援するマネージドサービス。展開単位は都市圏単位・県単位モデルが有効。

実施主体

公益財団法人 九州先端科学技術研究所(BODIK)共同利用型データ連携基盤「BODIK CityOS」の運営、自治体オープンデータ支援。
TISI株式会社データ連携基盤の設計・実装、実証システムの構築および運用。