一度公開したデータは削除しない、米ガバメントデータ保存法案を議会に提出

米トランプ政権のオープンデータに関する政策については、政権発足当初から不透明であるとの指摘がありました。1月早々にはホワイトハウスのサイトから「オープンガバメント」が消え、つい最近もホワイトハウスへの訪問者リストを非公開にしました。危機感を持ったサンライト・ファウンデーションはトランプ政権になってから削除されたオープンデータの追跡調査を行っています。
特に深刻なのが米環境保護庁(EPA)や米海洋大気庁(NOAA)が有する気候変動に関する膨大なデータです。政権発足直後にホワイトハウスのサイトから気候変動への言及が全て削除され、最近はEPAのオープンデータポータルサイトが予算削減によってシャットダウンされるとの噂が流れたりもしています。貴重なデータが消滅することを恐れた科学者たちが立ち上がり、多数のバッガー(bagger)がDataRefuge.orgにデータを保存しています。
政権交代や政策転換によってオープンデータが削除されることに対して危機感を持った議員たちは、米連邦議会にガバメントデータ保存法案(Preserving Data in 5 Government Act of 2017)を提出しました。法案は連邦政府機関に対して、データセットへのアクセスを保証するとともに、十分な公示をせずにインターネットからデータセットを削除することを禁止するものです。
 

Preserving Data in Government Act of 2017, http://sunlightfoundation.com/wp-content/uploads/2017/04/Bill_Text_Final.pdf


法案を提出したのは、ゲイリー・ピーターズ(民主党)とコーリー・ガードナー(共和党)の両上院議員です。「オープンデータはすでに多くの企業でビジネスに活用されており、新しいサービスの開発や雇用の創出にも貢献し、市民生活を向上させるために欠かせないものである」というのが法案提出の理由です。やはり先日、議会に提出されたオープンガバメントデータ法案に対して、多数の団体が支持を表明したように、米国ではオープンデータが企業活動や市民生活において幅広く活用されており、社会基盤として深く根付いていることがわかります。
 
参考資料:

文責:東 富彦(ビッグデータ&オープンデータ・イニシアティブ九州)